3年間使用したAndroidスマートフォンNexus 6Pのバッテリーの劣化具合を測定。新品のバッテリーと比べて、使用可能時間は73%も減っていた。
急速充電で充電しても、劣化につながる顕著な温度上昇は見られなかった。
バッテリー交換前後の使用可能時間
3年間使い続けたAndroidスマートフォンNexus 6Pのバッテリーを交換した。
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AndroidのアプリBattery Logを使うと、バッテリーの残量・電圧・温度のログを出力できる。
スマホ使用時、バッテリーの放電波形
バッテリーを交換した前後で、スマホの使用可能時間を比較する。スマホをフル充電した状態から使用中のバッテリー残量と電圧の時間変化を比較する。試行は各5回行った。

3年間使用したバッテリーは、消費速度が速いだけでなく、残量がまだ40%程度あるのに電源が落ちている。出力電圧3.4V以上を維持できなくなると、リセットが働いてシステムがダウンするようだ。
下の表で、5回分の使用可能時間の平均を比較した。3年間使用したバッテリーの使用可能時間は27%まで低下していた。
使用可能時間 | 割合 | 備考 | |
バッテリー交換後 | 39.1時間 | 100% | 新品。 |
バッテリー交換前 | 10.5時間 | 27% | 3年間使用後。 |
スマホの使用可能時間のヒストグラム
使い方によって使用可能時間は変わる。バッテリー残量の放電波形から下記の方法で使用可能時間と頻度を取得した。
バッテリー残量が10%減少する時間を求めて、100%の状態から使い切るまでの時間に換算。簡単のためバッテリー消費速度は残量に依らないと仮定。
結果をヒストグラムで表すと以下のグラフになった。

両者の中央値を比較する。3年間使用したバッテリーでは半日おきに充電が必要だが、新品のバッテリーでは1日に1回の充電で済むようになった。
ずっと画面を操作していると新品のバッテリーでも4~5時間しか持たない。大容量バッテリーのスマホと言えど、使用可能時間の短さは課題なのだ。
急速充電の充電時間短縮効果
2~3年でスマートフォンのバッテリーは劣化すると言われる。しかし、以前使っていたiPhone 4Sでは、5年間使用しても明らかなバッテリーの劣化を感じなかった。そこで、Nexus 6Pの新機能である急速充電が悪影響を及ぼしているのではと疑っている。
充電時間とACアダプタの出力電流
定格出力電流の異なる2種類のACアダプタを用意して、充電時間と温度をBattery Logで測定した。
No. | 定格出力電圧 | 定格出力電流 | 充電時間 | 最高温度 | 備考 |
1 | 5V | 3A | 82分 | 31℃ | 純正ACアダプタ(急速充電)を使用。 |
2 | 5V | 2A | 150分 | 24℃ | 市販品のACアダプタ。 |
1時間充電してバッテリー残量が何%増えたかを測定し、0%から100%まで貯める充電時間に換算。簡単のため充電速度は残量に依らないと仮定。
3A出力のACアダプタはHuawei純正で急速充電に対応している。2A出力と比べて、充電時間は半分程度だった。表にはないが、1A出力のACアダプタは充電不可だった。
Nexus 6Pの電池容量(3,450mAh)は、リチウムイオン電池の放電電圧を3.7Vとすると12.8Wh。2Aおよび3Aで充電すると、充電時間の理論値はそれぞれ77分および51分と測定結果よりかなり短くなる。実際の出力電流は平均すると、定格の50%~60%に絞られていることがわかる。
アンカー・ジャパンの記事によると、バッテリーを長持ちさせるためには、温度5℃から27℃で残量40%~80%に保つのが良いそうだ。
3A出力のACアダプタでも温度上昇は31℃に抑えられているから、仕様上の問題はないだろう。しかしながら、速く充電できるよりも長く使えた方がよっぽど嬉しい。大した効果は無いだろうが、2AのACアダプタを使いたいと思う。結果が出るのは3年後だ。